トラペジウム感想
まず率直な感想としてだけど、内容が薄かったなと。
別に現役アイドルじゃないと書けない内容じゃなかったし、なんと言っても展開が早すぎる。
今ひとつキャラクターの性格を掴みきれないまま、あれよあれよと進んでいく。
え?もう?と思いながら読まざるを得ないので、最後のシーンも特別感情を揺さぶられるものではなかった。
ただ、高山一実さんの実力不足か?
と聞かれると決してそれだけじゃないと思う。
もちろんデビュー作というところで、実力がまだまだなのは間違いない。
でも文章自体は読みやすいし、なんというか落ち着いてる。
実力なんて数こなせば伸びるんだから。
そんなことより、個人的に感じたのは出版社の思惑。
とにかく乃木坂人気絶頂の今出すんだよ!
内容?そんなの二の次!
出すことが最優先!
と言わんばかりの展開の速さ。
そうじゃないだろう。
せっかく乃木坂のメンバーが出すんだから、内容にこだわれよ!
極端な話、上下巻に分けて上巻は丸々キャラクター説明に費やしたっていい。というかそんくらいやらないと感情移入できないタイプの題材だと思う。
殺人事件も起きない、かといって大冒険するわけでもない。
あくまでも女子高生の日常がベースにある。
だったらキャラクターの深掘りはマストだろう。
そんでチマチマした出来事を下巻中盤までやって、最後に向かって全力疾走。
ってして欲しかった…
というか本人としてももう少しページ数多い想定だったのでは?
だってアイドル活動してるの一瞬だったし、なるまでもあまりに突然だった。
そこを期待してたのに。
どういうプロセスでアイドルになるの?
アイドルってどんなことが大変なの?
そこが全然描かれてないんじゃ、誰が書いたって一緒だ。
これが講談社とかから出てたら違ったかも…
と思わずにはいられない。
まああくまで私が感じたことだから、もしかしたら本人の想定通りの完成なのかもしれない。
でもそうだとしたら残念だな…
以上。
次の作品に期待。